伊礼智さん設計の「熊本の家」の写真を見て依頼、この子供部屋が気になっていました。熊本にある工務店の社長さん宅兼モデルハウスとして建てられた家で、他の伊礼作品と同様に全体的にコンパクトな作り。
中でもこの子供部屋は必要にして十分、むしろ窓と壁のプロポーションが美しくて、心に留まりました。
我が家の床面積が狭いということもあるのですが、以前より子供部屋には広いスペースは不要と考えています。ただ「実際にどれくらい狭くてもOKなのか?」は難しい問題で、なかなか良いお手本が見つけられずにいたので、「熊本の家」の子供部屋はまさにこれだ!と感じました。
この子供部屋は伊礼氏曰く
子供部屋は巾が1間・・・
コルビュジェのラ・トゥーレット修道院に泊まったとき、
部屋を実測してこの設計に生かしてみました。
とのこと。ラ・トゥーレット修道院はフランスのリヨン郊外にあるカトリック修道院で、宿坊として旅行者も受け入れています。コルビュジェですから、当然この建物もモデュロールを使って設計されていて、モデュロールが体感できる貴重な建物として建築好きの中では有名。
この子供部屋のサイズ、モデュロールを使用しているというところまでは想像がつきましたが、実際の縦横サイズがどれくらいなんだろうなと悩んでいたら、著作の中に、氏が描いたラ・トゥーレット修道院のスケッチを見つけました。
部屋の高さが2250mm、幅が1820mm。奥行きが5900mmですが、「熊本の家」の子供部屋はおそらく2間(3600mm)くらいに縮めているのではと思います。シングルサイズのベッドを1台と小さな棚を置いた上で、床に座って読書をしたりもできるサイズ。伊礼氏の窓の設計が秀逸で、狭苦しさを感じさせず、むしろ開放感が高まっています。
子供部屋に限らず、寝室なんて、これくらいの大きさでいいのだなと改めて感じました。
我が家は主寝室を将来必要があれば分割する予定でいますが、部屋を分けた後のサイズは「熊本の家」の子供部屋とほぼ同サイズ。
ラ・トゥーレット修道院のスケッチを見つけたのは設計完了後だったので偶然ですが、将来に分割しても狭すぎるということがなさそうで安心です。
後日追記
後日、YKK APの窓学展というイベントにて、ラ・トゥーレット修道院の実物大モックアップを見る機会を得ました。まさに「巣」という感じのサイズ感でとても居心地が良かったです。
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