我が家の施主支給と失敗談

VOLAマットブラック

施主支給とは?

施主支給とは、住宅設備機器・建材・照明器具などを施主が自分で購入し、ビルダーに取付・設置を依頼することです。

通常、住宅設備機器などはビルダーが独自のルートで手配し現場に納入され、取り付け費用を含んだ金額で施工費として計上されます。一方でネットや個人のツテで施主が機器を購入し現場へ納品。取付・設置のみビルダーが関わるのが施主支給です。

施主支給のメリットは?

施主支給の最大のメリットはコストダウン。

ビルダー経由で購入する場合、設備機器本体価格に手数料、取り付け費、その他雑費が経費として上乗せされます。さらにはこれらを合計した工事費の総額に対して約10%が管理費として総工事費に加算されます。施主支給の場合はこの経費のうち手数料と雑費(と管理費の一部)がカットできる計算になります。

住宅メーカーとの家づくりでは、選べる住宅設備に制限(例:決められたメーカーのものでないと選べないなど)がある場合があるので施主支給には「自分の好きなものを選べる」というメリットもありますが、建築家との家づくりであればこういった制限は(ほぼ)ないので施主支給のメリットはコスト面だけだと思います。

我が家の施主支給例

我が家は以下のものを施主支給させてもらいました。

  • ガスコンロ、ガスオーブン
  • ミラーキャビネット
  • 食洗機
  • 本棚
  • Flos265(照明器具)
  • ライティングレール(照明器具)
  • キッチン水栓

施主支給ならぬ、施主指定例

一方、施主支給ではないけれど、取引業者を指定して採用したものが以下です。

  • ガス温水床暖房
  • ガス乾燥機
  • エコワン(給湯器)

この3つは親戚が関連会社に勤めているツテ…というかしがらみがあるので、業者指定でお願いすることになりました。
施主支給との違いは工事費に機器価格が含まれる、イコール、ビルダーの管理費対象になるという点。

管理費の分だけ施主支給よりも支払い金額はUPしますが、例えば床暖を採用することで床暖パネルを貼らない位置に合板を捨て貼りしなければいけないなど、工事のほかの箇所との関わりが出る部分の管理や納品までのやりとりをビルダーがしてくれるので、連絡ミスや納品遅れによる工期への影響などを施主側が気にする必要がなく安心でした。

施主支給のデメリットは?

コスト面では圧倒的なメリットのある施主支給ですが、デメリットもあります。

  • ビルダーから指定された期日までに機器類を現場に納品しないといけない
  • 購入手配から納品管理まで施主が行わないといけない

納品期日に間に合わせるといっても、日付指定で荷物を送ればいいだけだし、購入手配って言ってもネットでぽちっとするだけでしょ?簡単!
と思いますよね。私も思っていました。でも実際やってみると落とし穴がいくつかあって、冷や汗をかくシーンがありました…。

施主支給の失敗談1 施主支給品の納品期日がよくわからない

我が家の場合、詳しい工程表がもらえなかったこともあり、支給品をいつまでに用意すればいいのか?がはっきりせず困りました。
軽いものなら早め早めに買っておいて自宅で保管していれば良いですが、重たいもの・大きいものは自分では運べないので直接現場に配送しないといけません。
現場は常に動いているので現場に保管しておくわけにはいかないし(大工さんに「こんなとこ置いておいたら仕事できないよ!」と叱られました)、ネット通販で安く購入しようと思っていたら在庫切れになってしまった、希望日に着指定ができなかった、など、バタバタしました。

施主支給の失敗談2 取付部品が足りない

VOLAのキッチン水栓を取り付けてもらおうと思ったら接続金具が足りない!と現場から緊急連絡が…。
慌てて調べると国内規格の止水栓と接続するためには『SC06412』という接続金物(下写真)が必要とのこと。

SC06412

出典:セラトレーディング

大慌てで注文しましたが当然ながら取付予定日当日には接続完了出来ず、日を改めて作業していただかなければいけなくなりました。
さらに悪いことには、注文二日後に品物が届いて一安心かと思いきや、混合水栓なのでお湯と水それぞれ用に2個注文する必要があったところを、私が勘違いして1つしか注文していなかった!!!という痛恨のミス(汗)。

ちなみにこの接続部品が必要だという情報はVOLAの日本代理店であるセラトレーディングの公式サイトには掲載されていないので、平田タイルのオンラインショップHits Onlineで確認することをオススメします。金物の個数まで明記してあるので間違いがないです。モノ自体は楽天でもYahooでも売られています。

施主支給の失敗談3 支給品に対する建築工事の範囲がわからなかった

我が家はASKOの食洗機を設置したのですが、給排水管と電源の工事は工務店、設置取付は販売店という連携プレーをお願いしていました。
ASKO食洗機取付設備図

出典:ツナシマ商事

販売店から上図の1から3までを一次工事側(建築側)で用意しておくよう説明書をもらったので、早い段階で工務店さんに渡してOKをもらっていました。

  1. 給水(給湯)止水栓
  2. 排水管
  3. 電源コンセント 単相

でも食洗機の取付日1週間前になっても止水栓がついていない!

ASKO食洗機取付前配管

食洗機取付1週間前の様子

奥の赤紫の管が排水管。手前の灰色の塩ビ管が給水管です。このように配管はOKでしたが、止水栓が取り付けられていません。

慌てて確認したら、工務店さん側では止水栓の取付は食洗機設置側がやるものだと思っていた、と。「食洗機の取付だけで、止水栓を設置しない業者なんてあるんですか???」と驚かれました。

ASKO食洗機取付前配管

工務店に修正依頼後

止水栓の取付とコンセントボックスの設置をお願いし、ようやく販売業者の指定する「取付前の一次工事完了」の姿になりました。事前に現場監督と「どこまでが建築側の工事で、どこからが取付業者の工事なのか」について打ち合わせをしていなかったためのトラブルでした。

施主支給しやすいもの/しにくいもの

以上の経験から、施主支給する機器類について難易度をつけてみました。

照明器具(難易度:★★☆☆☆)

照明器具は日本のメーカーものであれば施主支給でも問題ないと思います。念のため商品図面をチェックしておきましょう。
ただ、日本メーカーの商品であれば、場合によっては施主支給せずにビルダー経由のほうが安かったりする場合もあります。

海外製は詳細図面が事前に手に入らないこともあるので要注意。説明書に「要電気工事」とあるので直結仕様だと思い込んでいたら、開梱してみたらプラグ仕様だった…なんていうこともあります。

Flos265がプラグ仕様だった?!現場で慌てて修正指示。直結仕様に変更してもらいました
出典:Musta Ovi 家づくり計画のわりと早い段階から採用を心に決めていた首長照明、Flos265。 早々に購入し、電気工事が始まるタイミングに合わせて配送日を設定してもらって、万難を排して取付に臨んだ・・・・・・・・・・・・・・・・・...
水回り設備機器(難易度:★★★★☆)

水回り設備の施主支給については、我が家の建築家氏は反対派でした。理由は「不具合が起きやすい場所なので、故障・不具合時に責任のありどころをはっきりさせておくため」。

例えば温水床暖房を施主支給した際、試運転中にトラブルがあって床下が水浸しになってしまったとします。このトラブルの原因が床暖パネル自体の問題なのか、床貼り中に大工さんが釘を打って穴をあけてしまったからなのかなど、原因追及ができないと「誰が修理するのか/修理費を負担するのか」があいまいになってしまうと、最悪修理費は自分負担になる、ということ。
そのため我が家ではガス温水床暖、給湯器については施主支給はせず、販売業者だけ指定し、実際の工事に関するやり取りは販売業者さんと工務店さんで打ち合わせしていただく形にしました。工務店さんに支払う管理費はUPしましたが、結果的にはノートラブルで設置されたので良かったです。

一方で水栓金具程度であれば施主支給でもそれほど問題はおきないようですが、接続金具のチェックは忘れずに!(汗)

ガスコンロ、ガスオーブン等調理機器(難易度:★★☆☆☆)

日本製を選んだので取付金物が足りない!などのトラブルはなく無事に設置完了しました。
ただ、ビルダーさんが設置をしてくれるのかどうかの確認と、してくれない場合は業者の手配を忘れずに。
我が家の場合「(調理機器の)つなぎはウチでやります」と現場監督さんがおっしゃるので、つなぎ=調理機器の設置をしてくれるのかと思っていたら、ガス栓の接続だけのことだった、というプチトラブルもありました。

ペーパーホルダー、タオルかけ、鏡など(難易度:★☆☆☆☆)

このあたりは施主支給しやすく、トラブルも起きにくいと思います。下地が必要な場合は内装工事が始まる前にビルダーに連絡しておく必要があります。
取り付け費については事前に確認を。

番外編:ユニットバス

ユニットバス トクラスEveryバスルームをユニットバスで計画していた頃、少しでもコストダウンできないかと施主支給会社から見積もりを取ったことがありますが、工務店価格のほうが安価でした。
施主支給が必ずコストダウンにつながるとは限らないので、相見積もりは重要だと思います。

以上、我が家の失敗談でした

竣工間近のスケジュールがタイトな時に施主支給品の取付が集中しやすい、ということもあり、事前確認&打ち合わせがトラブル回避には重要だと思います。我が家は工務店さんの理解と建築家氏のサポートがあったので好き勝手にやらせてもらいましたが、もう少し事前準備を慎重にするべきだった、と大反省。

一度失敗を経験してみると、確認するべきポイントがわかりやすいので次は準備万端施主支給できると思いますが、家づくりは「次の機会」がなかなかないのが辛いところですね…。施主支給について悩んでいらっしゃる方の参考になれば嬉しいです。

コメント

  1. 色々トラブルがありましたね(笑)
    私は建売を購入してしまったので参考にすることはできませんが、後に家を建てる方のご参考になると思います★
    当初は注文住宅にするつもりでいたので、私の教科書だ!とばかりにはるさんのブログはまじまじと見ていました!
    これからお嬢さまとお二人の家に仕上げていく過程も楽しみです★

    お嬢さまの体調は良くなりました?
    案外4歳くらいの純粋無垢な子の感想が正にそれ!!ということありますよね。
    たまにハッとさせられます。

    • kyokoさん
      施主支給については反省しきりです。
      ずいぶん現場監督さんにもご迷惑をおかけしてしまったので、どなたかのお役に立てたら嬉しいです!
      娘のご心配もありがとうございます(涙)
      彼女の一番のお気に入りは夜の姿とお風呂だそうです。ほんと、小さいけれどちゃんとわかってるんだなぁと感心させられます。

      • あれだけ建築家さんの意見もきいてきたはるさんが、その反対をはねのけて造作にしたお風呂がお気に入りとは嬉しい限りですね☆
        転居はお済みになりましたか?
        片付いた家でゆっくり過ごしたいと思いつつ、家が整うまでの過程も楽しめますね♪
        タイル張りの洗面所に憧れたのですが、建売の我が家にはないので、はるさん邸がどんな風に仕上がったのかとても楽しみです☺︎

        • kyokoさん
          造作バスに対する建築家氏の偏愛には笑いました(絶対に造作バスがいい!でもカビますよ!タイル割おかしいって腹立ちますよ!!って…w)が、タイル割のおかしさも、目地材がタイルにくっついちゃって汚れみたいになっているところも気にならないくらい母子ともに気に入っています♡
          おかげさまで先日引っ越しを済ませましたが、まったく片づけられず荷物に囲まれて暮らしています…とほほー
          内覧会はカメラマンの素敵な写真を使って偽装したいと思います(笑)