コメントやInstagramでモールテックスの使用感について複数ご質問をいただいたので(ありがとうございます!)、書く書く言いながら記事にしていなかった、モールテックスの仕上げ(汚れ防止剤、トップコート)の違いと実際に使ってみた感想を記事にしたいと思います。
トップコートの種類と違い
モールテックスの仕上げには大きく分けて2種類、オイル系とニス系があります。
オイル系1:オイルモールテックス
モールテックスに浸透するオイルで保護する方法。
家具やフローリングのオイルフィニッシュと同じで、表面に膜を作らずしみこんで保護してくれます。ただ時間をともにオイルが抜けるので定期的な塗りなおしが必要なのも家具などと同じ。
詳しくは後述しますが、仕上がりの色が濃くなるので要注意。
オイル系2:レぺオイル
オイルモールテックスと同じ浸透性の保護剤ですが、モールテックスの色・質感の変化が少ないのが特徴。
紫外線による黄変を防ぐことができ、屋外使用可能な唯一の保護剤とのこと。
ニス系1:ビピュール
ビピュールというモールテックス専用ニス(水性)で保護する方法。
ウレタン塗装と同じ、表面に膜を作るタイプで水濡れに強く、日常的なメンテナンスは不要なのが特徴ですが、塗装膜が経年劣化するのでいつか再塗装する必要があり、その場合には一度すべての塗膜をはがしてからの施工になるそうです。
ニス系2:ポリタン
油性系ニスで、使用することで強度UPが期待できるそう。
こちらもメンテナンスフリーの塗膜タイプ。
以前、モールテックスのサンプルで仕上げと汚れ具合を確認した際にはレぺオイルとビピュールのみ検討しましたが、その後、左官屋さんから提案があり、我が家は結局オイルモールテックスとレぺオイル、ビピュールとポリタンの4種類すべての仕上げを使用することになりました。
キッチンの仕上げ
我が家のキッチンは水染みの心配があるシンク側はニス(ビピュール)仕上げ、油汚れの心配があるコンロ側(壁側)はオイルモールテックス+ワックス仕上げにしていただきました。
ニス(ビピュール)仕上げの感想
今日のキッチン。
以前いただいた塗装サンプルのときには汚れの染み込みが若干不安でしたが、実物はサンプルよりも塗膜がしっかりしているようで、醤油やソースなどをこぼしても調理後に拭けば大丈夫。今のところ染みもなく使えています。
ただ100℃を超えるような高温(キッチンでの最大の敵は油跳ね)には弱いという説明があったため、鍋などは直接置かないようにだけ注意して使っています。
オイルモールテックス+ワックス仕上げの感想
ニス仕上げは高温に弱く、油が跳ねてしまうとそこだけ点々とコーティングが剥げる可能性があるとの説明を受け、コンロ側はオイルモールテックスの上にワックスを重ねる仕上げにしていただきました。
毎日油跳ねを気にせずにコンロを使っていますが、オイルとワックスが汚れをはじいていて、こちらも特に汚れは気になりません。
ただオイルとワックスは徐々に抜けていくので、年に少なくとも1~2回塗りなおし(塗り足し)が必要とのこと。使い始めはこまめに塗りなおした方が良いとのことだったので、少しカサついてきたかな?と思ったらささっとオイルを塗るようにしています。キッチンの壁の一部と天板だけなので10分もあれば終わる作業です。
オイルモールテックスを使う場合の注意点
しかしオイルモールテックスで仕上げる場合もいいことばかりではなく、最大の注意ポイントは、モールテックスの表情(コテ跡など)が強く強調され、かつ色が濃く仕上がること!
我が家のキッチンは手前のシンクカウンターと奥のコンロカウンターのモールテックスの色は同じBM58なのですが、オイルモールテックスを塗ったコンロ側カウンターのほうが圧倒的に色が濃くみえます。
「オイルモールテックスを塗ると濡れ色っぽくなります」という説明を受けたうえでのGOでしたが、さすがにここまで色が変わるとは!仕上がり後びっくりしました。今からモールテックスでⅡ型キッチンを作られる方は、ニス仕上げ側のカウンターの色を一段階濃くすることを検討されると良いかもしれません。
我が家の場合、コンロ側をBM58+オイルモールテックス仕上げ、シンク側をBM59+ニス仕上げにしたら色の差が縮まったのかな?と想像しています。不安な方は左官屋さんに相談してみることをオススメ。
階段+ベンチの仕上げ
油汚れ・水染みともに心配のない室内ベンチですが、階段として使用するということもあり、強度が高くなるよう艶消しポリタン塗装(ニス系でウレタン塗装のようなもの)にしていただきました。
ポリタンの場合、モールテックスを塗った時の表情のまま固定できるのが特徴のよう。キッチンの2種類のカウンターに比べ、コテむらが強調されることもなくすっきりとした美しい仕上がりに見えます。水も油もハードに使うキッチンにはむかないようですが、テーブルなどでモールテックスの表情をあまり変えたくない場合ポリタンが良いのかもしれません。
屋外ベンチの仕上げ
屋外使用できる保護剤はレぺオイルのみとのことで、屋外ベンチはレぺオイル仕上げに、表面保護のためのワックスが塗布されています。レぺオイルはモールテックスのコーティング剤の中では、一番あっさりとした素直な表情に仕上がる印象です。
4種類のコーティング剤の中ではレぺオイルの仕上がりが好みなのですが、ワックスを塗っていても汚れ防止剤としては力不足な印象もうけます。
屋内と屋外ですから同列では比較できませんが、キッチンをレぺオイルで仕上げたら結構気を遣うだろうなぁ。
まとめ
- 油汚れ、水汚れは適切なコーティングさえしてあれば怖くない。むしろキッチンの床のフローリングの染みのほうが気になる…
- オイルモールテックス仕上げの表情は好みが分かれそうなので、事前に左官屋さんとよく相談することをオススメ。
- もし我が家のキッチンがⅡ型キッチンではなくⅠ型で、ニス(ビピュール)かオイルモールテックスのどちらかの仕上げしか選べないとしたら、ビピュールを選ぶと思う。
以上、我が家のモールテックスキッチンのコーティングについてでした。
コメント
詳しく教えていただきありがとうございます。
仕上げによってかなり違いがあるんですね。
経験のある左官屋さんにお願いできればいいんですが、キッチン屋さんの施工なので不安が残ります。クレームが多くてやりたくないっていうのが本音な気がしますが、なんとかいい方向に進んでいけばと思ってます。
はるさんのようにこだわり満載のキッチン目指して頑張ります!
あおさん
キッチン屋さんがモールテックス塗れるんですね!そこに驚いてしまいました(笑)
我が家の施工をしてくれた左官屋さんが、よその業者さんが施工したモールテックスキッチンの汚れがひどいから塗りなおししてくれ、と依頼されることが多いとおっしゃっていました。
ベンチなどはさほど汚れないからいいけれど、キッチンとなるとやっぱりちゃんと施工してもらいたいですよね…。
理想のキッチンが完成するよう、お祈りしてます!
うわぁーー塗り直しの依頼。。ありそうで怖いです。
キッチン屋さんの話では、汚れが目立つと説明したのに、1ヶ月点検時にクレームが出て…もう2度塗り直ししてます。とのこと。しかも、キッチン天板ではなく、キッチン横のカウンター兼ダイニングテーブルだそうで、不安しかないですね。。
モールテックスの実利用でこんなに詳細な記事は他に無いですよね。家を建てる際はモールテックスを考えているのでとても参考になります。モールテックスは紫外線には強いのでしょうか。やはりメンテナンスで塗り替えとかも必要なんですかね。
グラさん
ご参考にしていただけたらとても嬉しいですー。
モールテックスそのものはモルタルの1種のようなので、やっぱり紫外線による劣化はあるんだろうなーと想像しています。
塗膜を作らないオイル仕上げ(レぺオイル、オイルモールテックス)にしたら塗り替え不要(塗りたしでOK)のようですが、ビピュールとポリタンは劣化したら一度全部剥がして塗りなおしと言われました。
施工の際、左官屋さんからモールテックスは新建材なので経年サンプルがなく、実際にはどれくらいで塗り替える必要があるか?は謎だと説明を受けました。とはいえベルギーで10年経過のサンプルを見たけれどまだまだ綺麗だった、ということだったので、(施工がしっかりしていれば)数年でダメになるようなものではないようですよ。