金沢21世紀美術館に行く

金沢21世紀美術館

建物を見ることを目的に、夏に金沢21世紀美術館、通称『21美』に行ってきました。
設計はもちろん見間違えようもなくSANAAです。2004年竣工なので、早くも築15年。ずっと訪れてみたいと思いながらも機会を得ず、ようやく訪問がかないました。

金沢21世紀美術館
石川県金沢市にある現代美術館です。来館情報、展覧会、イベント、教育普及プログラム、コレクションの紹介など。

美術館というのは作品を展示するためのハコですから、建物そのものが主張することなく、多彩な作品を受け入れられるおおらかさと作品を際立たせるためにキリリと引き締まった空気感が生み出せることが条件だと思います。

金沢21世紀美術館

匿名的でありながら限りなくSANAA的なSANAAの設計は、その条件をクリアしながらも建物自体が美術作品となりえる造形美がある特異な例だと感じました。

金沢21世紀美術館

21美といえばレアンドロ・エルリッヒの『スイミング・プール』が超有名ですが、実は恒久展示群は(わりと)つつましやかに、そしてそれらのほとんどが無料で展示されていて、メインの展示は期間展示です。
21美は『地域とアートの共生』を目指した開館コンセプトの通り、積極的に若手アーティストの展示会やインスタレーションを行っているので、恒久展示群はあくまで施設のアクセント的な位置づけ。有名アーティストの恒久展示に頼らない運営に、「新しい金沢の魅力と活力を創出する」という本気を感じます。

金沢21世紀美術館は、「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に開設されました。(中略)金沢21世紀美術館は、ミュージアムとまちとの共生により、新しい金沢の魅力と活力を創出していきます。

金沢21世紀美術館コンセプト
金沢21世紀美術館

一方で、地域に開かれたコミュニティスペースとしての建物としてはSANAAの建物は似合わないのかなと思うシーンがいくつかありました。

金沢21世紀美術館

たとえばこちら。ガラス面から受ける太陽熱で温室になってしまう館内を冷やすための送風機と、送風機を直射日光から遮る衝立。メインエントランスの一番目立つ場所にあります。

せっかくのデザインが台無し…!
この送風機はチケット購入のための列に向かって置いてあるのですが、訪問した日は本当に暑くて、この送風機がなかったら病人が出ていたかもしれません。設計段階でもっと空調に気が使われていたら…と残念に感じます。

21世紀美術館

また、こちらは事務所スペース。
建物全体がぐるりとガラス張りですから、こういった裏舞台もしっかり丸見え。それを隠すために半透明のパーテーションを立てているのでしょうが、いやいやなんとも悲しい状態です。もっとお片付け頑張ろうよ!

金沢21世紀美術館
屋根を修復中

ちょうど屋根の補修工事が行われている様子も観察できました。ガラスと屋根のつなぎめをコーキング中。直島フェリーターミナルを見たときにも感じたことですが、SANAAのガラス&真っ白空間を竣工当時のままの姿で運用していくのはなかなかに手間&費用がかかりそうです。

とはいえ、金沢という歴史ある城下町にSANAAの建物が馴染み、街の人々に受け入れられている様子には心打たれるものがありました。21美があるのは金沢城にほど近い、歴史的建物の多い地区。保守的なデザインの建物を求める声もあっただろうと想像します。
金沢は古くから茶の湯文化が盛んで、優れた伝統工芸品技術を今なお伝える土地なので、人々の『美』に対する意識が洗練されているのかもしれません。

21世紀美術館

これから訪問される方は、21美のウェブページから期間展示の内容を確認して、興味のある展示を狙っていくことをオススメします。また暑さ・寒さ対策は万全に!

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