娘には長い間読み聞かせをしてきましたが、3歳を過ぎてからは自分で読みたがるようになりました。
とはいっても長い本は途中で面倒になってしまうらしくお鉢がこちらに回ってくるので、達成感を得られるように、内容の面白さはもちろんですが、本の長さにも注意して本選びをしています。
『オリビア』
作者はニューヨーカーの表紙などを担当したイラストレーター、イアン ファルコナー。日本語訳は谷川 俊太郎。
おしゃれでおしゃまなこぶたのオリビアの一日が描かれた絵本です。オリビアはクールでいわゆる「子供っぽい」キャラクターではないのに、限りなく子供らしくて愛らしい。読んでいて大人も子供もくすくす笑ってしまいます。
娘は読みながら「もうー、オリビアったらこんなことして!」などとお姉さんぶった口調でオリビアのはちゃめちゃな行動を笑っていますが、娘よ、オリビアはあなたにそっくりで、母はへとへとですよ。でもしょうがない。「なんてったって愛してるからね」 [1] 出典:イアン・ファルコナー(2001)『オリビア』あすなろ書房
5歳の娘自身が読むのにちょうど良い量の文章なので、寝る前に好んで読んでいます。
『だいこん だんめん、れんこん ざんねん』
加古里子(かこさとし)さんといえばだるまちゃんシリーズやからすのパン屋さんが有名ですが、それらの名作を上回って圧倒的に面白いと思う、娘と私のイチオシはこちら。
題名の通り、「断面(図)」について説明されている本です。
「はんぶんこ」など量の分割は日常生活にしょっちゅう登場しますが、断面についてフォーカスすることはあまりないですよね。この本では断面(図)の特徴や得意とすること・苦手とすることが説明されています。
かこさとしさんは応用化学を学んで企業の研究所に長年勤めたゴリゴリの理系人でありつつ絵本作家として活躍してきた異色の人物なので、子供にわかりやすく科学 [2] ここでは自然科学の意 を伝える方法がずば抜けて素晴らしい。本質はずばりと表現してしかし多くを語らず、という塩梅が絶妙です。子供のモノの見方を広げられる良書でした。
科学の本を選ぶときは少し慎重になります。科学は年々新発見があり今までの常識が塗り替えられていくものなので、長年読み継がれている良書だからといってすべてが正しい内容ではない場合があるからです。私が子供のころは冥王星は惑星だったし、チバニアンは更新世中期のなかの一時期でしかありませんでした。
そこまで大きな発見でなくとも科学の塗り替えは日々行われていますが、かこさとしさんは子供向けの科学の本は意識的に普遍的な、または長く読み継がれるに堪える内容が扱われているので、初版1984年(!)であっても安心です。
くまの子 ウーフ
こちらは絵本ではなく読み物としての本。子供向けのお話しですが、内容はなかなかに示唆に富んでいて哲学的です。
題名の通りウーフという名前のくまの子供の日常についてのお話しなのです。彼が自分の日常に存在する生と死、矛盾や憤りといったものを、ただそこにあるものとして理解できる/できないにかかわらず受け止める姿が描かれています。
ウーフの前に投げ出された疑問は、物語の中で回収されずにそのまま疑問として話が終わります。そのエンディングに娘が混乱するかと思っていたら、あっさりと理解している様子に驚きました。
子供に「なぜ?」「どうして?」と質問されたとき、最大限できる限り正確に答えなければならない、と思い込んでいた私には衝撃的でした。
コメント