アルテック(という建築事務所)代表の阿部勤さんと、安立悦子さんが設計されたキッチンの本です。
2014年刊行なので、建物紹介の本としてはもう新しくないですね。
数十年前にデザインされた照明が今なお流行の第一線を張っていたりするのに、世間的な建築(物)のトレンドってわりと流れが早いなと感じます。
もちろん、好きなものをずっと追求し続けている人がいて、独自の確固たる世界を構築している人がいて、そういった一部の「本当のおしゃれさん」が建築・インテリア業界を支えていると思っていますが、一方で北欧インテリアブーム、和モダン、コンテンポラリーデザイン等々、メディアにあっという間に消費されて、表層的には陳腐化してしまったものも多数ある思っています。
「本当のおしゃれさん」には到底なれない一般ピーポーな私は、家づくりを通して、頭をごんごんとあちこちにぶつけながら、メディアが食い散らかしたもの、目もくれなかったもの、いろんなものの中から「本物の好き」を探し出して自分の家(建物・インテリア)を確立していくという作業を余儀なくされています。これが家づくりの醍醐味でもあり、苦しさでもあり…。道は険しい。
さて阿部さんのお宅に話を戻すと、こちらは超!有名物件なので、いろいろなメディアで見かけます。
だいたいどの写真もごっちゃり感に溢れています。ミニマリズムや断捨離なんている言葉の対局にあるような部屋。なのに、すごく居心地がよさそう。
とりわけキッチンは圧巻です。
奥様がなくなられたあと、一人でも、大勢のゲストを招いた時も料理がしやすいように、と計画されたキッチンにはびっくりするくらいモノがあふれていて、それでいて楽しく料理が出来そうで、いいなぁと思っていたのでした。
今回買った「暮らしを楽しむキッチンのつくり方」は、そんな阿部さんのお宅のキッチンを筆頭に、アルテックが手掛けた11のキッチンについて、写真が図面・寸法入りで紹介されています。
この寸法入り、というのにめっぽう弱い私。キッチンについて書かれた本はたくさんありますが、寸法を公開してくれるものは少ないですよね。でも、キッチンこそぜひ寸法が知りたいのです。人工大理石のキッチンカウンターで、カフェ風で、ステンレスの質感にこだわったガスコンロで~、という情報にはもうおなかいっぱい。実際に人が立っているキッチンの詳細寸法をください!
という、変態風味の希望を叶えてくれるのがこの本でした。特に、実際にお料理をしている写真とあわせて寸法が紹介されているので数字がイメージしやすいです。またどのお宅も料理と食事を楽しんでいるのがよく伝わってきて、キッチンって本当はこうあるべきなんだろうな、と思わされます。
ちなみに、本書で紹介されている安立悦子さんのキッチンは『小さな家で楽しむスタイルのある暮らし』にも登場しています。
こちらの本で見たとき、安立さんのお宅の独特な風合いが印象的で、このお宅のキッチンはどうなっているのか知りたい!と思っていました。
今回の本で素材や間取りが詳細にわかって面白かったです。
コメント
こんにちは。
ごちゃついてるのにかっこいい…というのは永遠の憧れです。
飾る為に置いているのではなく、必要だからあるだけなのに絵になる。
人生にスタイルを持つ人のみが許される境地ですね。
凡人の私は今日も断捨離に勤しみます。(引っ越し近いですし(笑))
まっくさん
>人生にスタイルを持つ人のみが許される境地
まさに、おっしゃる通りだと思います。人格が家を作るんでしょうね。
友人の家がまさに飾っていないのに絵になる家なのですが、おしゃれなだけでなくものすごく居心地が良くて、遊びに行くとリラックスしまくっています。
我が家もそんな家にできればいいなと思いつつも、人格破綻者なのでたぶん無理。
まっくさん宅はあとちょっとで竣工ですね。羨ましい!!!!!!!!
web内覧会楽しみにしています♥